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データで見る札幌の気象:No.1

「札幌と似た街」

等温線をたどる旅

最近、海外旅行をする機会が多くなった。出かける前に気になるのは、やはり行き先の暑さ・寒さである。

承知のように、気温は緯度が高くなるにつれて低くなる。もちろん、これは地表条件が均一と仮定したときのことで、実際には陸と海、地形や海流の影響でかなり違うが、マクロにみればほぼこの関係が成り立つ。

そこで、札幌の年平均気温(8.2℃)および冬と夏の代表として1月の平均気温(-4.6℃)と7月の平均気温(20.2℃)に注目し、これら3本の等温線が北半球のどの地域(緯度)を通るかをみたのが図1である。

図1:札幌の平均気温(年,1月,7月)で引いた等温線

図1:札幌の平均気温(年,1月,7月)で引いた等温線

図中の年平均気温(黒線)をみると、お隣りの中国の一部ではほぼ同緯度のほかは、みな札幌より高緯度を走っている。つまり、札幌と同緯度の地域の年平均気温は、高所でもない限り札幌より高いことになる。

それでは、冬と夏はどうだろうか。まず冬の青線に注目すると、アジア大陸東部はさすがに寒く-4.6℃の等温線がチベット高原あたり(北緯30度)まで南下しているのがわかる。更に西にたどると、青線はヨーロッパに入ると急に北上を始め、スカンジナビア半島西方の北大西洋では実に北緯72度付近まで北上しているのに驚かされる。これは同域を流れている北大西洋暖流の影響である。

次に夏をみると、赤線は北太平洋上では一般に北緯40度以南だが、カルフォルニア寒流の影響を受ける北米西岸で大きく南下する。しかし、北米大陸や、ユーラシア大陸上では一部を除き札幌より高緯度を通っており、札幌より気温の高いことを示す。ただし、注意を要するのは、夏期気温のピークは日本は8月だが、大陸諸国は7月になる点だ。図を見るときはこの点に注意して欲しい。

似てるがどこか違う街

さて、用意が整った。前の3本の等温線が通る地域は、それぞれ年平均気温、夏と冬の平均気温が札幌と似た地域であった。したがって、この3本の等温線が交わるところ、または接近するところは年平均気温がほぼ同じで、夏の暑さ、冬の寒さが似た地域といえそうである。図中の薄緑の部分はこれを示す。

気候というのは、気温・降水(雨や雪)・日照・・・などの総合状態だから、気温のみで”似てる”というのは正確ではない。しかし、ある土地の気候を最も特徴づけるのは暑さ・寒さであるから、図の薄緑の部分が札幌と似た地域であるといっても大きな誤りはない。

では、図1の薄緑の部分にはどんな街があるのだろうか。ヨーロッパの大部分は冬の気温が高いのでこの領域にはなく、領域内の主な街といえば、ウクライナのキエフぐらいなものである。北米西岸ではバンクーバーとポートランド、東岸ではボストン、トロントがあるが、ポートランドやボストンは冬の気温が意外に高く似た街とはいえない。表1はこれら諸都市と札幌の気温・降水量を比較したものである。

表1 札幌と似た街の気象(平均値)

都市 緯度(北緯) 平均気温(℃) 降水量(mm)
1月 7月 1月 7月
札幌

43°03'

8.2

-4.6

20.2

1130

108

69

キエフ

50°24'

7.6

-5.3

19.7

616

48

80

バンクーバー

49°11'

9.8

2.5

17.3

1113

154

33

トロント

43°41'

7.3

-6.7

20.6

758

51

72

表からわかるように、気温が一番似ているのはウクライナのキエフである。次いでカナダ東部のトロントがあるが、両都市とも降水量は札幌の半分くらいである。なお、先にも述べたように、日本の暑さは8月にピークがあるのに対し、大陸諸国のピークは7月である。札幌の8月の平均気温は21.7℃だから、表1の似た街より夏の気温は高い。”似てる”といってもどこかが違うのが気候というものである。

なお、参考のために付け加えると、南半球には札幌に似た街はない。

(作成)文・資料とも柏原辰吉氏,平成10年

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